大貫美鈴 著「宇宙ビジネスの衝撃」刊行記念イベント@池袋(2018.6.7)に参加してきた(4)「ベンチャーの増加、VCの増資」
こんにちは。wakuphasです。
このテーマも4回目ですが、あと1,2回ほどでまとめ切ろうと思います。
(4)宇宙ベンチャーの増加、VCの増資
現在、日本の宇宙開発は黎明期とも言われ、徐々に盛り上がりを見せはじめていますが、アメリカは一足早く宇宙ビジネスの波に乗っています。
現存する宇宙ベンチャーの数は1000を超え、今後は力のある企業がM&Aを行い、統合していく時期に入っていくと思われます。例えばPlanet Labs (以下、Planet)は2017年2月に、Googleを親会社に持つTerra Bellaを買収したと発表しています。
Google子会社Terra Bellaを3億円超でPlanetが買収: 画像データの新時代 | 宙畑
また宇宙ベンチャーの種類も多様で、ロケットをはじめとした輸送業から、衛星画像を利用したデータ産業、小型通信衛星を用いた通信弱者に対する通信網の提供まで、幅広い産業を形成しています。
さらに注目すべきは、こうした宇宙ビジネスが成り立ち始めている背景にベンチャーキャピタル (VC) からの投資額が2015年を境に爆発的に増えたことが挙げられます。
以下の図は、Tauri Group (米) が調査した宇宙ベンチャーへの年間資金流入額の推移の様子ですが、紺色のVenture、つまりVCからの投資額が2015年に15億ドルと前年の15倍程度まで増えています。
投資額もそうですが、宇宙に投資をするVCの数も増えています。
現在宇宙に対して投資している企業の数は全世界で555と言われています。
その国別の内訳は、
1位 アメリカ 321
2位 日本 44
3位 英国 41
4位 カナダ 19
5位 イスラエル 17
...
となっておりアメリカが圧倒的ではあるものの、日本も2位とかなり力を入れていることがわかります。
実際日本でも、多くの宇宙ベンチャーが多額の資金を獲得しています。
・アクセルスペースが2015年にシリーズA投資ラウンドで約18億円を調達
・アストロスケールが2016年にシリーズB投資ラウンドで約30億円を調達
・ispaceが2017年にシリーズA投資ラウンドで101.5億円を調達
またForbesによってランキングされている2000人のビリオネアのうち、25人が宇宙に何らかの形で投資をしているという事実もあり、宇宙開発における大きな難点の一つである資金調達が徐々に解消されつつあります。
(ちなみにベンチャーが成立する条件としては「技術」「マネジメント」「市場」「資金」「環境整備」が挙げられます。)
ただし、こうした巨額のインプットに対して、すぐに投資額を超えるリターンがあるとは言えないのも事実で、10年、20年先にこの状況が続いているのかについては様々な見解があります。
大貫美鈴 著「宇宙ビジネスの衝撃」刊行記念イベント@池袋(2018.6.7)に参加してきた(3)「他産業との結びつき」
こんにちは。wakuphasです。
引き続きまとめていきたいと思います。
(3)他産業との結びつき
これまでは宇宙産業といえば、ロケットの打ち上げ、つまり「ハード」の部分がメインでした。実質そこがハードルが高く、国をあげて開発してきたわけです。
しかし近年、安全かつ高頻度の打ち上げ、そしてメイン衛星の相乗りという形での機会提供の増加などから、衛星を利用したビジネスが熱くなっています。
この分野では画像の加工やAIを用いたビッグデータ処理、そして実際に地上の産業に対してソリューションを提供するという、いわゆる「アプリケーション」の部分が重要になってきます。
スマホというハード(プラットフォーム)が完成してからアプリの分野が急速に発展したように、今後宇宙におけるハードがより強固なものになると同時に、アプリ開発が盛り上がっていくことでしょう。
また、ここで重要なのが他産業といかにして結びつけられるか、だと思います。
IT産業が現在ここまで発展してこれたのは、他産業との親和性が高く、人材、技術、価値の流動性が非常に激しかったからです。
宇宙産業はそのハード開発の難易度から一つの分野に閉じこもってきましたが、アプリという次なる市場が開拓されつつある今、あらゆる分野の民間企業は宇宙を一つの活動領域として認識するべきでしょう。
とはいっても具体的に他産業とどう連携していくのか想像がつかないかもしれないので、ざっと簡単に例をあげると
・農業
作物育成具合の管理、農作に適した場所の捜索
・漁業
漁船の運航管理、魚・プランクトンの場所把握、流氷の地図化
・車
交通状況の管理、効率化、自動運転
・飛行機
飛行機の場所一括管理、データ蓄積、効率化
・投資家
貿易船の数、スーパーに停まっている車の数、石油タンクの減り具合等から予測される売り上げデータ
・資源探査
人の足が入り辛い場所の探索
などなど聞くだけで、無限の可能性がありそうですよね!?
しかもまだまだ日本ベンチャーは数十社しか出てきていない今、ビジネスチャンスなのでは?!
JAXA 新事業促進部とは
JAXA 新事業促進部
今回は、え...いつのまにこんな粋なサイトが...!
というJAXAのとある部署についてお話ししたいと思います。
その名もJAXA 新事業促進部 (2016年にリニューアルしていたらしい)。
国立機関であるJAXAがこれまで蓄積してきた知的財産を活用し、民間の宇宙ビジネス創出を人材派遣、技術指導、実験施設貸し出しなどといった面からサポートしてくれるなんとも今の宇宙ビジネスの波にぴったりな部署なのです。
こんな方に...
・防災対策、農業、森林保全、漁業資源管理に宇宙の技術を使えないか
・新製品開発にJAXA特許や試験設備を使いたい
・航空宇宙技術に関連した新たなビジネスを創出したい
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こうしたJAXA新事業促進部ですが、現在提供しているソリューションとしては以下の6つがあります。
2. spin-off(特許・技術利用)
3. 施設設備供用
4. 衛星(リモートセンシングデータ提供、超小型衛星開発)
5. きぼう(ISSからの衛星放出や宇宙実験)
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J-SPARCは、事業化の意思を持つ民間事業者及び大学機関等とJAXAの間でパートナーシップ協定を結び、協働していくというもので2018年に始まったプログラムです。
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また特許・技術利用に関するページは、JAXAの保有する特許と簡単な説明が一覧でずらりと並んでおり、「知的財産を活用したい」という方には直感通りのページとなっています。
ただ、詳しい内容や具体的にどういった部分で使えそうか、といったところについては問い合わせフォームから相談するのが吉でしょう。
新事業促進部は御茶ノ水駅徒歩1分の場所にあるので、都内で事業を始めたい方にとってはアクセスしやすそうですね。
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衛星に関しては2016年あたりから、革新的衛星技術実証プログラムにおいて実験テーマを公募しており、その1号機に宇宙ベンチャーのアクセルスペースが選ばれていたことは記憶に新しいです。
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あと気になるのが「JAXAベンチャー」ってやつなんですが、どうやらそのままJAXA職員が出資・設立したベンチャーらしく現在2社あるそうです。社内で公募でもあったのでしょうか、、面白いですね。
きく8号の大型展開アンテナの設計検証の際に開発された、幾何学的非線形性を扱える構造解析ソフトを元に、超高層ビルの耐震解析や木造建築の倒壊解析などに応用する。
はやぶさの電力制御発信の技術を元に社会インフラのスマート化に貢献する。また民間の小型衛星や宇宙機開発に対して安全安価無毒な推進機関(エンジン)を提供する。
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さらに面白いのはこれらとは別に新興国向けの宇宙人材育成教材が整備されていることです。28科目39時間で
・宇宙技術、開発に関する知識(リモセン、電気、衛星etc.)
・宇宙技術の利用方法(小型衛星、デブリ除去、防災etc.)
・宇宙機関の運営方法(国内外の政策、法律、教育etc.)
について一通り学ぶことができるようです。新興国向けとは書いてありますが、英語が得意であればこれから宇宙ビジネスに関わる人材の育成にはもってこいかもしれません。
ちなみに
対象と実施条件は以下のようです。
対象:
原則として国内の企業、団体、行政機関、研究機関等
実施条件:
・宇宙基本法の趣旨を踏まえた社会的な意義があり、JAXA協力により効果が期待できること
・ご依頼の範囲・対象・期間が明確かつ合理的であること
・費用が必要な場合にご負担頂けること
・国内法令等に反する恐れがないこと
さて、今日はJAXAにおける民間との開けた窓口である、新事業促進部についてまとめてみました。
これまで他産業と隔たり気味 (?) だった宇宙開発ですが、以下の2つを促進していくことで、今後も宇宙利用の裾野を広げていくことができればいいですね。
--> JAXAという立場から民生分野へ技術の民生転用(spin-off)
--> 逆に宇宙とは一見縁遠かった民生技術・アイディアの宇宙転用(spin-in)
国際宇宙探査に関するワークショップ@八重洲に参加してきた (2018.6.11)
こんにちは。wakuphasです。
少し手が空いたのでド平日ですが、JAXAの主催する「国際宇宙探査に関するワークショップ〜月探査ミッションに向けて〜」に参加してきました。
内容としては月近傍有人拠点 (LOP- G) の目指すべき姿、そこに付随して民間とどう協力していくか、さらに実際に取り組み始めているスタートアップなどについて4時間ほど語られていました。
JAXA側からは五味理事補佐の挨拶に始まり、佐藤直樹さん (国際宇宙探査推進チーム) を中心に、説明がなされました。
民間側からはJAMSSの福田信彦さん、MRIの内田敦さん、スカパーJSATの内山浩さんからお話がありました。
参加者としてはispaceやspace dreamといった宇宙ベンチャーの方々からJAXAやメーカーさん、また宇宙とは関係のない分野の方もいました。
LOP-Gとは
アメリカが構想するLunar Orbital Platform-Gatewayの略で月近傍有人宇宙拠点を指す。
ISECGに参画する15ヶ国の協力の元進められる。
目的:
月の周回軌道にISSのような有人拠点を設置し、月面探査や月以遠の探査に向けた技術実証を行う
概観:
月周回軌道の案は複数あるが、現在は電力・通信確保・月到達性・地球到達性の観点から、NRHO(Near Rectilinear Halo Orbit)軌道が有力
可能になること:
1. 月面探査
・科学探査
・水氷資源探査(月極域探査)
・水氷が見つかれば活用し、月面広域探査や、探査を行う他国や企業に供給
2. 拠点を利用した技術実証
・小型探査機放出
・探査機の遠隔操作
・深宇宙補給技術
・有人滞在技術
・重力天体離着陸技術(月着陸実証機SLIM等)
・サンプルリターン
3. 深宇宙探査
・火星探査
ということで、アポロ計画以来の月への有人探査計画の拠点として、LOP-Gを構築していくそうです。
そしてこの計画には民間の協力が欠かせないようです。
これまでの宇宙開発、例えばISSといったものは、国がまず構想から、開発、利用を十分行なってから、民間に開放・委託していくという流れがほとんどでした。
しかし、今回の月探査については宇宙ベンチャーなどの民間企業が既に一定以上の力をつけており、もはや国だけでは計画が遅れてしまうため、積極的に頼っていく姿勢を取っています。
日本のispaceというベンチャーも「人類の生活圏を宇宙に広げ、持続性のある世界を目指す」というコンセプトの元、既に明確な月の水資源探査を計画しており、2018年2月には100億円規模の出資を得ています。
民間からの提案も募集中
JAXAからは情報提供要請という形で現在以下3つの公募を行なっています。
・HTV-X
・LOP-G
・探査通信アーキテクチャの検討
ちなみに...
情報提供要請とは
RFI: Request For Information
提案依頼の前段階で行う情報収集の手段。今後具体的な提案を依頼したいけど、そもそもどんな枠組みで依頼をしたらいいのか分からないので、もはやそのための情報提供を依頼してしまおうというものです。
提案依頼とは
RFP: Request For Proposal
ある情報を元に具体的にやりたいことを提案してもらうこと。
LOP-Gに関しては締め切りが2018.6.29ということで、すぐそこですね。
内容としてはわりとふんわりした構想でもいいそうで、具体的な実現性については今後、JAXAと検討していくという形だそうです。
同様に三菱総合研究所(MRI)でも「宇宙資源ビジネスの創出を一緒に考える仲間」を募集しており宇宙業界以外の企業とも積極的にコミュニケーションをとっていく方針です。
ただ、今まで宇宙に携わる機会のなかった民間企業からすれば、具体的にどのような部分に協力できるのかが見えてづらいような気もします。
そこで海外動向含めた、月と月の近傍空間 (Cis-Lunar空間) における未来の市場予測をMRIがまとめており、ビジネス例や必要になるであろうインフラなど、これを参考にすれば具体的に考えるための手助けとなりそうです。
フロンティアビジネス研究会の 活動と成果と宇宙資源開発をめぐる国内外の最新動向 (MRI)
JAXAの在り方が問われる
いくつか質疑応答がありましたが、やはりどのスタートアップも素直にJAXAの技術・人材・施設を利用できる機会を欲しているようでした。
JAXAでは、JAXA新事業促進部や宇宙探査イノベーションハブといった部署があり、外に開けた窓口という意味で、スタートアップにとっては今後重要になってきそうです。
ということで、宇宙探査に関するワークショップでしたが、政府、民間、そしてその間を取り持つ人の構想が一度に感じることができるいい機会でした。民間の宇宙事業も地球だけでなく、月探査にまで及び始めているのですね。
ただ、民間の宇宙事業というからには、やはりどこでお金を生むかが非常に重要になってきます。BtoBやBtoG(Gorvernment)がありますが、やはり継続的に資金や支援を受けるためにもBtoCでいかに価値を高めていくかが、今後の分かれ目かもしれません。
実際、月探査の様子を地球上でVR鑑賞できるようにするサービスなど様々な構想はあるようなので、とても楽しみです。
大貫美鈴 著「宇宙ビジネスの衝撃」刊行記念イベント@池袋(2018.6.7)に参加してきた(2)「小型化」
こんにちは。wakuphasです。
前回、イベントの内容を全部書こうと思ったんですが、これは...普通にブログとしては長すぎるな、と思ったので何回かに分けて書くことにしました。
ということで続きです。
(2)「小型化」
何が小型化したのでしょうか。
まず、宇宙産業の構造をピラミッド型で例えると、以下の図のようになっています。
こちらを見ると宇宙ビジネス=ロケットではなく衛星に付随するサービスやインフラといったものが宇宙産業においては大きく占めていることがわかります。
そんな衛星ですが、つい10年ほど前までは開発コストは1基何百億円とかかっており、それこそ国しか携わることができない分野でした。
しかし近年衛星の小型化が進み、1基数千万円から数億円で製造可能となり、参入のハードルが下がったことによって小型衛星を利用した宇宙ベンチャーが急速に増えました。
日本のアクセルスペースやウミトロンといった企業もその波に乗っています。
こうした小型衛星を用いて世界の宇宙ベンチャーはこぞって地球観測データ利用による新たな価値創出や、強力な通信網の獲得に注力しているわけですが、衛星を打ち上げるためにはロケットが必要です。それも好きな時に、好きな量だけ、好きな軌道に打ち上げられる柔軟性のあるロケットが必要です。
そうした商業的背景もあって、アメリカのSpaceXやBlue Origin、日本のInterstellar technologiesなどが低価格かつ、高頻度で打ち上げ可能なロケットの開発にいそしんでいるのです。
きたる小型衛星全盛期に備えて、宇宙への輸送プラットフォームを完成させておきたいわけですね。
ちなみに現状、小型衛星を打ち上げる際は、
・国が打ち上げるロケットの余っているスペースを利用する
・ISSのきぼう実験棟から宇宙飛行士に放出してもらう
といった方法をとることが多いです。
1つ目はいわゆる相乗り衛星と呼ばれるものですね。あくまで本命衛星がメインなので、打ち上げ時期や軌道は選ぶことができないのが難点です。
2つ目に関しては、2017年にJAXAによって掲げられた「きぼう利用戦略」によって積極的に民間利用を促進しています。実際、2018年2月までに放出された民間小型衛星の数は国内外で200機を超えています。
このように日本においても宇宙産業活性化について明確に目標を掲げており、政府の「宇宙産業ビジョン2030」では、上図の宇宙産業全体の売り上げ(現在8兆円)を2030年までに倍にする計画を立てています。
「宇宙産業ビジョンの策定に向けた提言」を公表 (2016年11月17日 No.3293) | 週刊 経団連タイムス
大貫美鈴 著「宇宙ビジネスの衝撃」刊行記念イベント@池袋(2018.6.7)に参加してきた(1)「宇宙が国から民間の経済開発の場になっていた。」
こんにちは。wakuphasです。
先日、大貫美鈴さんの「宇宙ビジネスの衝撃」刊行記念イベントに参加してきました。
内容は著書「宇宙ビジネスの衝撃」の内容を元に2000年以降の、特にここ2,3年の宇宙産業に起きた衝撃的な事実を10連続で紹介していくといったものでした。
著書自体は、海外の動向から日本の現状まで非常にわかりやすくまとめられているので、今後の宇宙ビジネスの流れを予測するための入門書としてかなりオススメです。
大貫美鈴さんは清水建設宇宙開発室、JAXAを経て独立。現在は宇宙ベンチャーのスペースアクセスCEOであり、宇宙ビジネスコンサルタントとして活躍しているお方です。
それではイベントで得た情報を自分なりにまとめていきます。
(1)「宇宙が国から民間の経済開発の場になっていた。」
つい最近まで宇宙開発はそのリスク、コストの高さから国が行うものであるという認識が当たり前でした。
しかし2016年時点で世界の宇宙産業売り上げのうち77%は商業宇宙活動によるものであり(日本航空宇宙工業会調べ)、既に政府関連の需要は23%以下となっています。
この事実は未だ90%近くを官需に頼っている日本にとっては驚きでしょうが、確実に宇宙は民生分野での利用が増えていっているのです。
そしてこの立役者として最も宇宙業界に影響を与えている人物と言えば、SpaceXのCEOであるイーロンマスクと、Blue OriginのCEOであるジェフベゾスでしょう。
SpaceXは、2002年に宇宙産業に参入し、その目的はもちろん人類の火星移住です。
Falcon 9 (10-20t)、Falcon heavy (20-50t)と着実に輸送機のペイロードを増やしています。また製作中のBFRが完成すれば150tまで積載可能とも言われています。
Blue Origin
Blue Originは、Amazon CEOのジェフベゾスが2000年に立ち上げたベンチャーです。あまり知られていませんが、実はSpaceXよりも先に参入しています。
その目的は宇宙で100万人が働く環境を作ること。そのためにまずは月への物資輸送などを目標としています。
SpaceXほど大々的に公表はしていませんが、水面下で着実に実験を繰り返しており、特にBE-4といったエンジン開発に力を注ぎ、既にULA (アメリカの政府系衛星の打ち上げを一手に担ってきたボーイングとロッキード・マーチンの合弁企業)へ提供する契約を結んでいます。
これら2つの企業のロケットに共通する最も重要なコンセプトは、なんといっても再利用可能である点です。再利用可能な輸送機として有名なものに、スペースシャトルがありましたが、予定よりも打ち上げ頻度が低く、維持費が嵩んだことから2011年に退役しています。
結果的に使い捨てロケットよりも高額になってしまったスペースシャトルですが、そのコンセプト自体は受け継がれ、既に上記の2社によって既存のロケットよりも遥かにコストパフォーマンスの良いロケットが作られています。
再利用とはなんぞや、という方に一見は百聞にしかず。逆再生ではないです笑。
特にSpaceXのFalcon heavyでは、コスパを最大化するために、冗長性のないエンジン1台よりも、小型エンジンをたくさん使用して冗長性のある同規模の強力なエンジンを組み上げる方が、修理もしやすく失敗が少ないという発想から、計27基のエンジンが搭載されています。これによって最大6基が故障しても問題ないとのこと。
日本は...
ちなみに日本のJAXAと三菱重工によるH-IIAロケットは、Falcon heavyと同程度の予算 (100億円) でペイロードは15t程度となっています。
ただ、2020年に第1号機打ち上げ予定の日本の次世代H3ロケットは、現行機の半額程度の50億円で、年6回打ち上げ、ペイロードは40-65tとなっており、非常に高性能であると期待されます。
・打ち上げ費用の削減
・静止軌道打ち上げ能力の増強
・打ち上げ時の安全性の向上
・年間打ち上げ可能回数の増加
の4つを同時に達成して、宇宙開発における日本の自立性を確保すると同時に、商業受注を見据えた国際競争力の高いロケットになりそうです。
またホリエモンのInterstellar technologies inc.など輸送機開発に力を入れる宇宙ベンチャーも複数出てきており、今後に期待です。
To be edited