大貫美鈴 著「宇宙ビジネスの衝撃」刊行記念イベント@池袋(2018.6.7)に参加してきた(2)「小型化」
こんにちは。wakuphasです。
前回、イベントの内容を全部書こうと思ったんですが、これは...普通にブログとしては長すぎるな、と思ったので何回かに分けて書くことにしました。
ということで続きです。
(2)「小型化」
何が小型化したのでしょうか。
まず、宇宙産業の構造をピラミッド型で例えると、以下の図のようになっています。
こちらを見ると宇宙ビジネス=ロケットではなく衛星に付随するサービスやインフラといったものが宇宙産業においては大きく占めていることがわかります。
そんな衛星ですが、つい10年ほど前までは開発コストは1基何百億円とかかっており、それこそ国しか携わることができない分野でした。
しかし近年衛星の小型化が進み、1基数千万円から数億円で製造可能となり、参入のハードルが下がったことによって小型衛星を利用した宇宙ベンチャーが急速に増えました。
日本のアクセルスペースやウミトロンといった企業もその波に乗っています。
こうした小型衛星を用いて世界の宇宙ベンチャーはこぞって地球観測データ利用による新たな価値創出や、強力な通信網の獲得に注力しているわけですが、衛星を打ち上げるためにはロケットが必要です。それも好きな時に、好きな量だけ、好きな軌道に打ち上げられる柔軟性のあるロケットが必要です。
そうした商業的背景もあって、アメリカのSpaceXやBlue Origin、日本のInterstellar technologiesなどが低価格かつ、高頻度で打ち上げ可能なロケットの開発にいそしんでいるのです。
きたる小型衛星全盛期に備えて、宇宙への輸送プラットフォームを完成させておきたいわけですね。
ちなみに現状、小型衛星を打ち上げる際は、
・国が打ち上げるロケットの余っているスペースを利用する
・ISSのきぼう実験棟から宇宙飛行士に放出してもらう
といった方法をとることが多いです。
1つ目はいわゆる相乗り衛星と呼ばれるものですね。あくまで本命衛星がメインなので、打ち上げ時期や軌道は選ぶことができないのが難点です。
2つ目に関しては、2017年にJAXAによって掲げられた「きぼう利用戦略」によって積極的に民間利用を促進しています。実際、2018年2月までに放出された民間小型衛星の数は国内外で200機を超えています。
このように日本においても宇宙産業活性化について明確に目標を掲げており、政府の「宇宙産業ビジョン2030」では、上図の宇宙産業全体の売り上げ(現在8兆円)を2030年までに倍にする計画を立てています。
「宇宙産業ビジョンの策定に向けた提言」を公表 (2016年11月17日 No.3293) | 週刊 経団連タイムス