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宇宙開発・ビジネス発展の礎。我々は過去を踏み台に今を生き、また未来の礎として今を生きる。

JAXA 新事業促進部とは

JAXA 新事業促進部

 

今回は、え...いつのまにこんな粋なサイトが...!

というJAXAのとある部署についてお話ししたいと思います。

 

その名もJAXA 新事業促進部   (2016年にリニューアルしていたらしい)。

aerospacebiz.jaxa.jp

国立機関であるJAXAがこれまで蓄積してきた知的財産を活用し、民間の宇宙ビジネス創出を人材派遣技術指導実験施設貸し出しなどといった面からサポートしてくれるなんとも今の宇宙ビジネスの波にぴったりな部署なのです。

 

こんな方に...

・防災対策、農業、森林保全、漁業資源管理に宇宙の技術を使えないか

 

・新製品開発にJAXA特許や試験設備を使いたい

 

小型衛星の開発にJAXA技術者のアドバイスが欲しい

 

・航空宇宙技術に関連した新たなビジネスを創出したい

 

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こうしたJAXA新事業促進部ですが、現在提供しているソリューションとしては以下の6つがあります。

1. J-SPARC(宇宙イノベーションパートナーシップ)

2. spin-off(特許・技術利用)

3. 施設設備供用

4. 衛星(リモートセンシングデータ提供、超小型衛星開発)

5. きぼう(ISSからの衛星放出や宇宙実験)

6. JAXAベンチャー

 

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J-SPARCは、事業化の意思を持つ民間事業者及び大学機関等とJAXAの間でパートナーシップ協定を結び、協働していくというもので2018年に始まったプログラムです。

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J-SPARCの主なターゲット(JAXA

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また特許・技術利用に関するページは、JAXA保有する特許と簡単な説明が一覧でずらりと並んでおり、「知的財産を活用したい」という方には直感通りのページとなっています。

ただ、詳しい内容や具体的にどういった部分で使えそうか、といったところについては問い合わせフォームから相談するのが吉でしょう。

新事業促進部は御茶ノ水駅徒歩1分の場所にあるので、都内で事業を始めたい方にとってはアクセスしやすそうですね。

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衛星に関しては2016年あたりから、革新的衛星技術実証プログラムにおいて実験テーマを公募しており、その1号機に宇宙ベンチャーアクセルスペースが選ばれていたことは記憶に新しいです。

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あと気になるのが「JAXAベンチャー」ってやつなんですが、どうやらそのままJAXA職員が出資・設立したベンチャーらしく現在2社あるそうです。社内で公募でもあったのでしょうか、、面白いですね。

Origami/ETS合同会社

きく8号の大型展開アンテナの設計検証の際に開発された、幾何学非線形性を扱える構造解析ソフトを元に、超高層ビルの耐震解析や木造建築の倒壊解析などに応用する。

合同会社パッチドコニックス 

 はやぶさ電力制御発信の技術を元に社会インフラのスマート化に貢献する。また民間の小型衛星や宇宙機開発に対して安全安価無毒な推進機関(エンジン)を提供する。

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さらに面白いのはこれらとは別に新興国向けの宇宙人材育成教材が整備されていることです。28科目39時間で

・宇宙技術、開発に関する知識(リモセン、電気、衛星etc.)

・宇宙技術の利用方法(小型衛星、デブリ除去、防災etc.)

宇宙機関の運営方法(国内外の政策、法律、教育etc.)

 について一通り学ぶことができるようです。新興国向けとは書いてありますが、英語が得意であればこれから宇宙ビジネスに関わる人材の育成にはもってこいかもしれません。 

 

 

 

 

ちなみに

対象と実施条件は以下のようです。

 

対象:

原則として国内の企業、団体、行政機関、研究機関等

 

実施条件:

宇宙基本法の趣旨を踏まえた社会的な意義があり、JAXA協力により効果が期待できること

・ご依頼の範囲・対象・期間が明確かつ合理的であること

・費用が必要な場合にご負担頂けること

・国内法令等に反する恐れがないこと

 

 

さて、今日はJAXAにおける民間との開けた窓口である、新事業促進部についてまとめてみました。

これまで他産業と隔たり気味 (?) だった宇宙開発ですが、以下の2つを促進していくことで、今後も宇宙利用の裾野を広げていくことができればいいですね。 

--> JAXAという立場から民生分野へ技術の民生転用(spin-off

--> 逆に宇宙とは一見縁遠かった民生技術・アイディアの宇宙転用(spin-in