JAXA Space Business Night! Vol.2「ビジネス×衛星データ」(2018.8.23)に参加してきた
こんにちは。wakuphasです。
本日はJAXA × BIZとVenture Café Tokyoが主催する、Space Business Night! Vol.2に参加してきました。
内容としては宇宙ビジネスの「今」を体験できるセッションとなっています。
◇プログラムと登壇者
①衛星データと衛星データ利用ビジネス
・JAXA新事業促進部 事業開発グループ 武田隆史
②トークセッション:オープン&フリー化に見る、衛星データの可能性
・さくらインターネット株式会社 セールスマーケティング本部 営業部 アカウントエグゼクティブ 鈴木仁志氏
・JAXA新事業促進部 事業開発グループ 主任 山﨑秀人
それでは、内容についてまとめていきたいと思います。
J-SPARCとは
はじめに、JAXA新事業促進部武田さんからJ-SPARCに関する軽い説明がありました。
J-SPARC(JAXA Space Innovation through PARtnership and Co-creation)は宇宙イノベーションパートナーシップのことで、JAXAが2018年5月から開始した事業共創プログラムです。
これまでは民間とJAXAが明確な線引きのもと宇宙開発を行ってきましたが、これからは事業コンセプトの段階から実証プロセスに至るまで、民間と共同で行っていくようです。
またJ-SPARCが取り組む事業群は大きく以下の3つです。
・人類活動領域を広げる
・宇宙を楽しむ
・地上の社会課題解決
J-SPARCを始め、JAXA新事業促進部は、これまで蓄えてきた宇宙開発に関する知見を民間に解放していくサービスを提供しています。今後の宇宙ビジネス発展において重要な位置付けになりそうです。
Tellusとは
「Tellus(テルース)」とは、さくらインターネット株式会社が開発する日本初の衛星データプラットフォームのことです。
ちなみに欧州にはコペルニクスというデータプラットフォーム事業が既に存在しています。
宇宙ビジネスコート主催「ビジネス交流会 SUMMER2018」(2018.7.24)に参加してきた「コペルニクスとは」 - 猫と宇宙と音楽と
◇背景
民生分野での宇宙データ利用を促進させることで、日本の官需中心の宇宙産業を民需中心にしたい。しかし解析手法の難しさやデータ処理の負担から浸透し辛い現状がある。
これをTellusで解決する。
◇Tellusが提供するサービス
・処理済の衛星データ(オープン&フリー)※
・ストア(ユーザが解析ツールを作成・販売・購入することができる)
・ライブラリ(国内外の宇宙時事ニュースの発信)
・データコンテスト(2018年夏季頃から随時実施)
・ラーニングイベント(宇宙ビジネス活用のための講座等)
※基本的にストレージと解析するための環境が全てクラウドで提供されます。
◇Tellus計画の流れ
1. 2018年5月9日
経済産業省の「平成30年度政府衛星データのオープン&フリー化及びデータ利用環境整備事業」の委託先としてさくらインターネットが契約。
分析・解析などに必要なコンピューティングを有したプラットフォーム「Tellus(テルース)」の構築・運営に着手。
2. 2018年7月31日
民間の取組として、本プラットフォームの開発・利用促進を行うアライアンス「xData Alliance(クロスデータアライアンス)」を発足。
3. 2018年9月末にClosed β版リリース予定
Tellusのβ版の事前申し込みはこちらから行うことができます。
3. 2018年12月末にOpen β版リリース予定
4. 2019年2月下旬にVer.1.0を提供開始予定
5. 2021年にはプラットフォーム運営民営化予定
◇具体的な使用感や解析ツールは?
こちらは質問してみたのですが、いくつか構想があり、今まさに議論の最中だそうです!
ただGoogle Earth Engineやその他の近年のサービス同様API連携をとても大事にしているとのこと。
また、光学画像はすでに安価で使いやすい解析ソフトがあるが、マイクロ波領域のSAR(Synthetic Aperture Radar)衛星の解析ツールはまだ高額だそうで、Tellusではこれら全てのデータをできるだけ簡単に解析できるツールをクラウド上で提供する予定とのこと。
SAR衛星とは?ASNARO-2で広がる宇宙ビジネスの可能性 | 宙畑
まとめ
本日は、JAXAの主催するSpace Business Night! Vol.2「ビジネス×衛星データ」の内容をまとめてみました。
今回紹介したデータプラットフォーム「Tellus」は、衛星データビジネスへの参入障壁であるデータ収集と解析のハードルを大幅に下げてくれるものです。
しかし、それにも関わらず、どこか先が不透明な気がしました。
結局一番の課題は顕在化された顧客がいないというところにある気がします。
・宇宙のデータだけではだれの役にも立たない。地上の全く別のデータと組み合わせて始めて衛星画像は価値を持つ。
⇒非宇宙業界こそチャンス。
・データベースだけ渡されても売れる事業にする仕方がわからない。
⇒エンドユーザーのニーズ抽出が先。
とはいうものの、このTellusはそうした宇宙ビジネス発展のファーストステップであることは確かだと思います。