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国際宇宙探査に関するワークショップ@八重洲に参加してきた (2018.6.11)

こんにちは。wakuphasです。

 

少し手が空いたのでド平日ですが、JAXAの主催する「国際宇宙探査に関するワークショップ〜月探査ミッションに向けて〜」に参加してきました。

 

内容としては月近傍有人拠点 (LOP- G) の目指すべき姿、そこに付随して民間とどう協力していくか、さらに実際に取り組み始めているスタートアップなどについて4時間ほど語られていました。

 

JAXA側からは五味理事補佐の挨拶に始まり、佐藤直樹さん (国際宇宙探査推進チーム) を中心に、説明がなされました。

民間側からはJAMSSの福田信彦さん、MRIの内田敦さん、スカパーJSATの内山浩さんからお話がありました。

参加者としてはispaceやspace dreamといった宇宙ベンチャーの方々からJAXAやメーカーさん、また宇宙とは関係のない分野の方もいました。

 

 

 

 

LOP-Gとは

アメリカが構想するLunar Orbital Platform-Gatewayの略で月近傍有人宇宙拠点を指す。

ISECGに参画する15ヶ国の協力の元進められる。

 

目的:

月の周回軌道にISSのような有人拠点を設置し、月面探査や月以遠の探査に向けた技術実証を行う

 

概観:

月周回軌道の案は複数あるが、現在は電力・通信確保・月到達性・地球到達性の観点から、NRHO(Near Rectilinear Halo Orbit)軌道が有力 

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LOP-Gの概観(JAXA

 

可能になること:

1. 月面探査

・科学探査

・水氷資源探査(月極域探査)

・水氷が見つかれば活用し、月面広域探査や、探査を行う他国や企業に供給

 

2. 拠点を利用した技術実証

・小型探査機放出

・探査機の遠隔操作

・深宇宙補給技術

・有人滞在技術

・重力天体離着陸技術(月着陸実証機SLIM等) 

・サンプルリターン

 

3. 深宇宙探査

・火星探査

・火星衛星(フォボス/ダイモス)探査計画(MMX

 

ということで、アポロ計画以来の月への有人探査計画の拠点として、LOP-Gを構築していくそうです。

 

そしてこの計画には民間の協力が欠かせないようです。

これまでの宇宙開発、例えばISSといったものは、国がまず構想から、開発、利用を十分行なってから、民間に開放・委託していくという流れがほとんどでした。

 

しかし、今回の月探査については宇宙ベンチャーなどの民間企業が既に一定以上の力をつけており、もはや国だけでは計画が遅れてしまうため、積極的に頼っていく姿勢を取っています。

日本のispaceというベンチャーも「人類の生活圏を宇宙に広げ、持続性のある世界を目指す」というコンセプトの元、既に明確な月の水資源探査を計画しており、2018年2月には100億円規模の出資を得ています。

 

 

 

民間からの提案も募集中

JAXAからは情報提供要請という形で現在以下3つの公募を行なっています。

・HTV-X

・LOP-G

・探査通信アーキテクチャの検討

 

ちなみに...

情報提供要請とは

RFI: Request For Information

提案依頼の前段階で行う情報収集の手段。今後具体的な提案を依頼したいけど、そもそもどんな枠組みで依頼をしたらいいのか分からないので、もはやそのための情報提供を依頼してしまおうというものです。

 

提案依頼とは

RFP: Request For Proposal

ある情報を元に具体的にやりたいことを提案してもらうこと。

 

LOP-Gに関しては締め切りが2018.6.29ということで、すぐそこですね。

内容としてはわりとふんわりした構想でもいいそうで、具体的な実現性については今後、JAXAと検討していくという形だそうです。

 

同様に三菱総合研究所(MRI)でも「宇宙資源ビジネスの創出を一緒に考える仲間」を募集しており宇宙業界以外の企業とも積極的にコミュニケーションをとっていく方針です。

 

ただ、今まで宇宙に携わる機会のなかった民間企業からすれば、具体的にどのような部分に協力できるのかが見えてづらいような気もします。

そこで海外動向含めた、月と月の近傍空間 (Cis-Lunar空間) における未来の市場予測をMRIがまとめており、ビジネス例や必要になるであろうインフラなど、これを参考にすれば具体的に考えるための手助けとなりそうです。

フロンティアビジネス研究会の 活動と成果と宇宙資源開発をめぐる国内外の最新動向 (MRI)

 

 

 

JAXAの在り方が問われる 

いくつか質疑応答がありましたが、やはりどのスタートアップも素直にJAXAの技術・人材・施設を利用できる機会を欲しているようでした。

JAXAでは、JAXA新事業促進部宇宙探査イノベーションハブといった部署があり、外に開けた窓口という意味で、スタートアップにとっては今後重要になってきそうです。

aerospacebiz.jaxa.jp

www.ihub-tansa.jaxa.jp

 

 

 

ということで、宇宙探査に関するワークショップでしたが、政府、民間、そしてその間を取り持つ人の構想が一度に感じることができるいい機会でした。民間の宇宙事業も地球だけでなく、月探査にまで及び始めているのですね。

ただ、民間の宇宙事業というからには、やはりどこでお金を生むかが非常に重要になってきます。BtoBやBtoG(Gorvernment)がありますが、やはり継続的に資金や支援を受けるためにもBtoCでいかに価値を高めていくかが、今後の分かれ目かもしれません。

 

実際、月探査の様子を地球上でVR鑑賞できるようにするサービスなど様々な構想はあるようなので、とても楽しみです。